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(全文日本語訳) 次世代の定義: Xbox Series X 技術用語集

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次世代の定義: Xbox Series X 技術用語集

ウィル・タトル (Will Tuttle) Xbox Wire 編集長

2020年3月16日 5:00AM

Xbox Series Xで新しい世代のコンソールゲームに参入するにあたり、私たちはゲーム体験を次のレベルに引き上げるため、ハードウェアとソフトウェアにまたがる数々のテクノロジーを進化させてきました。

ここでは、Xbox Series Xの技術と機能を説明するために導入した新しい用語のいくつかに慣れていただくため、以下のガイドを作成しました。

※編者注:原文は頭文字アルファベット順ですが、アーキテクチャ等で関連するものを順に並べました。また、下線等も付与しました。

 

Xbox Velocity Architecture: Xbox Velocityアーキテクチャ (Xbox 高速化設計)

Xbox Velocityアーキテクチャは、Xbox Series Xのために作られた新しいアーキテクチャで、これまでのコンソール開発では見られなかった新機能を実現します。

①カスタムNVMe SSD、②専用のハードウェア圧縮解凍ブロック、③全く新しいDirectStorage API、そして④Sampler Feedback Streaming(SFS)の4つのコンポーネントで構成されています。

これらカスタムハードウェアと密接なソフトウェア統合の組み合わせによって、開発者はアセットストリーミングを根本的に改善し、利用可能なメモリを効果的に増やすことができます。それは、かつてないほどリッチで、さらに躍動感あふれる世界を可能にしてくれます。また、ロード時間を効果的に削減して、「ファストトラベル」システムを文字通り「ファスト(高速)」にします。

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Hardware Decompression: ハードウェア圧縮解凍

ハードウェア圧縮解凍は、Xbox Series Xで導入された専用ハードウェアコンポーネントであり、解凍実行時に関連する全てのCPUオーバーヘッドをすべて排除しながら、ゲームがSSD上で消費するスペースを最小限に抑えます。

これにより、SSDがフル・パフォーマンスで動作する際の解凍のソフトウェアオーバーヘッドをCPU3コアからゼロに削減できるため、ゲームのCPUパワーを大幅に解放し、より快適なゲームプレイやフレームレートの向上などの領域に充てることができます。

ハードウェア圧縮解凍は、Xbox Velocityアーキテクチャコンポーネントの一つです。

 

DirectStorage: ダイレクト・ストレージ

DirectStorageは、SSDとハードウェア解凍の性能を最大限に引き出すため、ゲーム専用に設計された全く新しいI/Oシステムであり、Xbox Velocityアーキテクチャを構成するコンポーネントの一つです。

最近のゲームではバックグラウンドでアセットのストリーミングを実行して、ゲームワールドの隣接した部分をプレイ中に絶え間なくロードしていますが、DirectStorageを使用すれば、そういったI/O操作のためのCPUオーバーヘッドを複数のコアから、単一コアのほんの一部にまで削減できます。さらにゲームのCPUパワーが大幅に解放されて、シーン内のより優れた物理演算やより多くのNPCなどの領域に充当することができるようになります。このDirectXファミリーの新要素はXbox Series Xに導入されており、Windowsにも導入予定です。

 

Sampler Feedback Streaming (SFS): サンプラーフィードバック・ストリーミング

SFSは、Xbox Velocity アーキテクチャコンポーネントの一つであり、Xbox Series Xハードウェアが持つ機能です。

ゲーム中、そのシーンが必要とするテクスチャの一部だけを、必要に応じてより高精細にメモリにロードできます。これにより、テクスチャのメモリ使用率が大幅に向上します。4Kテクスチャ1枚で8MBのメモリ消費であることを考えれば重要なメリットと言えます。メモリに不要なテクスチャ部分をロードする無駄を省くことで、物理メモリ容量とSSDのパフォーマンスの両方を2倍、または3倍(またはそれ以上)にすることができます。

 

Auto Low Latency Mode (ALLM): 自動低遅延モード

次世代ゲーム機の応答性への取り組みの一環として、Xbox Series Xは対応ディスプレイで自動低遅延モード(ALLM)をサポートしています。ALLMは、ゲームプレイ開始時に自動的にディスプレイの最低遅延モードを有効にします。この機能はXbox Oneコンソールにも搭載されています。

 

Backward Compatibility: 後方(下位)互換性

Xboxは、互換性をお約束します。四世代にわたる何千ものお気に入りのゲーム、Xbox Oneのゲーム機器、Xboxゲームのレガシー、そしてXboxゲームパスのような業界をリードするサービスが、Xbox Series Xで動作することを想像してください。

下位互換性のあるゲームは、Xbox Series Xのパワーとパフォーマンスの恩恵を享受し、安定したフレームレート、高速なロード時間、解像度の向上とビジュアルの忠実さを実現します。ファンやゲームクリエイターは安心して、そのゲームにおける最高のバージョンをプレイでき、開発することができます。

 

DirectML: 機械学習向け 低レベルAPI(Direct Machine Learning)

Xbox Series Xは、DirectXコンポーネントであるDirectMLを使用したゲームの機械学習をサポートしています。DirectMLは、Xbox Series Xにおいて16ビットの浮動小数点演算性能が24TFLOPS以上、4ビット整数演算性能が97TOPS以上(1秒間に1兆回の演算を行う)という、コンソールでは前例のないハードウェアパフォーマンスを活用します。

機械学習は、NPCをもっと賢くし、はるかに生き生きとしたアニメーションを提供し、映像のクオリティを大きく向上させるなど、さまざまな領域を改善できます。

 

Dynamic Latency Input (DLI): 動的応答性入力(ダイナミック・レイテンシ・インプット)

Xbox Series Xのレイテンシ(遅延)を削減するため、私たちが行っているもうひとつのイノベーションは、Dynamic Latency Input(DLI)です。

DLIを使用することで、開発者はプレイヤーの入力を、ゲームのシミュレーションおよびレンダリングループにより正確に同期させることができ、ゲームプレイ中の入力レイテンシをさらに低減できます。

 

GPU Work Creation: GPU処理生成(GPUワーク・クリエイション)

Xbox Series Xは、GPUワーククリエイションのためのハードウェア、ファームウェア、およびシェーダコンパイラのサポートを追加し、GPUがCPUの支援なしで新しいワークロードを効率的に処理するための強力な機能を提供します。
これにより、開発者がグラフィックスのビジョンを実現するための柔軟性とパフォーマンスが向上します。

 

Hardware Accelerated DirectX Raytracing (DXR): 専用ハードウェア実装によるDirectX 光線追跡法(ハードウェア・アクセラレイテッド・ダイレクトエックス・レイトレーシング)

改善された照明、影、反射、さらにリアルな音響と三次元的なオーディオにより、レイトレーシングは開発者がより物理的に正確なゲームワールドを作成することができます。
Xbox Series Xは家庭用ゲーム機として初めて、高性能のハードウェアアクセラレーションによるレイトレーシングをサポートしています。Xbox Series Xは、パートナー企業であるAMDによる最新の技術革新を活用し、DirectX レイトレーシングを開発した同じチームと協力して開発されたカスタム設計のGPUを使用しています。
開発者の皆様は、PC上でも同様の技術を使用して、驚くべき没入感のある映像とオーディオの体験を提供できるようになります。

 

Intelligent Delivery: インテリジェント・デリバリー

ゲームのインストールサイズを削減するMicrosoftの開発者向け技術です。

インテリジェント・デリバリーは、開発者がゲームの必要な部分だけをインストールすることを可能にし、SSDへインストールやダウンロードが必要なコンテンツ容量を最小限に抑えることができます。

 

Latency: レイテンシ(遅延、応答性)

レイテンシとは、入力がコンソールに検知されてから画面に表示されるまでの時間など、コンソールとコントローラー間の遅延時間を指します。レイテンシを低減することで、よりゲームと結合した、没入感のある体験が可能となります。
Xbox Series Xは、ゲームのパイプライン全ての段階でレイテンシを最小に抑え、ユーザー操作の画面への反映を瞬時に見ることができる高度なテクノロジーを備えて「超低遅延」を実現した、これまでで最も素早く反応するコンソールとなるでしょう。

 

Mesh Shading: メッシュ・シェーディング

メッシュシェーディングは、シーン内にかなりの数のオブジェクトをレンダリングする際、パフォーマンスと画質を大幅に向上させることができます。例えば、メッシュシェーダを使用することで小惑星帯や花畑をパフォーマンスの低下を見ることなく、より自然なディテールで体験できます。

 

Native Resolution: ネイティブ(本来)解像度

ネイティブ解像度は、Xbox Series X の下位互換性を一部のXbox Oneゲームで強化したもので、はじめから4K用に設計されていないゲームでも、ネイティブ4Kでレンダリングできるようになります。

 

Optimized for Xbox Series X: Xbox Series X 向けに最適化されたゲーム

Xbox Series Xの開発機を使用して作られ、Xbox Series X独自の機能を活用するようデザインされたゲームです。
これには、Xbox Series X 開発環境を使用してネイティブに作成された新作ゲーム、およびXbox Series X専用に作り直された既発売のゲームが含まれます。
比べようもないロード時間、ビジュアル、応答性、そして最大120fpsのフレームレートを披露します。

 

Parallel Cooling Architecture: 並列冷却アーキテクチャ

並列冷却アーキテクチャは、Xbox Series Xを冷却するために使用される、革新的なシステム・デザインです。
Xbox One Xの4倍の処理能力を提供するコンソールを、最も静かで効率的な方法で構築する――次世代コンソールの全ての追加機能にとってきわめて重要です――それは、他に類を見ないこの縦型デザインにつながりました。

 

Project Acoustics: プロジェクト・アコースティクス(音響効果プロジェクト)

基礎研究機関であるMicrosoft Researchによって10年以上にわたり開発されてきたプロジェクト・アコースティクスは、今日のAAA体験の多くで採用されている、複合現実とゲーム内の音響伝搬物理とを正確にモデル化します。
これはCPUに負担をかけず、複雑な場面の幾何学形状において回折などの波動音響効果をシミュレートするという点で独自の手法であり、より没入的でリアルな聴覚体験を可能にします。
UnityとUnreal両方のゲームエンジンプラグインをサポートしているため、サウンドデザイナーは表現力豊かなコントロールでリアリティを生み出すことができます。
開発者は、新しいカスタムオーディオハードウェアブロックの追加により、Xbox Series XでProject Acousticsを簡単に活用できます。

 

RDNA 2: アールディーエヌエー ツー

Xbox Series Xのカスタム設計プロセッサには、私たちのパートナーであるAMDの最新の次世代グラフィックスアーキテクチャであるRDNA2が採用されています。
RDNA2は、パフォーマンスと効率の大幅な向上に加えて、ハードウェアアクセラレーションによるレイトレーシングや、可変レートシェーディングなどの次世代グラフィックス機能を提供します。

 

SDR to HDR Conversion: HDR変換

Xbox Series Xでは、ID @ Xboxプログラム内の最新タイトルを含む既存のXboxゲームのうちHDRをネイティブサポートしていないものは、次世代の変換処理を受けることができます。

Xbox Series Xは革新的なHDR再構築技術を活用して、開発者の手を煩わせずに、利用可能なCPU、GPU、またメモリリソースに影響を与えることなく、既存のSDRゲームを強化することができます。

 

Smart Delivery: スマートデリバリー

スマートデリバリーは、Xbox Series Xで導入された新技術で、世代を超えて、お持ちのゲーム機で常にゲームの最高のバージョンをいつでもプレイすることができます。

『Halo Infinite』を含む、Xbox Series Xに最適化されたXboxゲームスタジオのタイトルは全てスマートデリバリーに対応しており、どのゲーム機でプレイしても最適なバージョンを提供します。

例えば、対応しているゲームのXbox One版を購入した場合、通常通りゲームに最適なバージョンを識別し、お客様のXbox Oneに提供します。

Xbox Series Xで次世代機に移行することを決めたならば、Xbox Series X用に最適化されたバージョンのゲームが利用可能になった場合に、追加費用なく自動的に提供されます。

スマートデリバリーは全てのXbox開発者にご利用いただけます。

 

Spatial Audio: 空間音響(スぺイシャル・オーディオ)

Spatial Audioは、プレイヤーが3Dのプレイ空間においてオブジェクトをより正確に、ピンポイントで特定できる、強い没入感のあるオーディオを提供します。
Dolby Atmos、DTS:X、およびWindows Sonicをフル・サポートするXbox Series Xには、CPUからオーディオ処理負荷を軽減するカスタムオーディオハードウェアが搭載されており、これら没入型体験のアクセシビリティ、品質、およびパフォーマンスを飛躍的に向上させます。

 

TFLOPS (Teraflops): 1秒間あたり1兆回の浮動小数点演算性能(テラフロップス)

TFLOPS(テラフロップス)とは、Trillion Floating-point Operations Per Secondの略で、GPUの数学的性能を表す指標値です。
Xbox Series Xは、Xbox One Xの2倍の32ビット浮動小数点性能で12TFLOPSを提供しますが、AMDのRDNA2アーキテクチャによるアーキテクチャ効率の向上に加えて、可変レートシェーディング(VRS)やハードウェアアクセラレイテッド DirectX レイトレーシングといった次世代機能により、Xbox Series Xは、Xbox One Xの2倍を超える効果的なゲーム用グラフィックスパフォーマンスを実現できます。

 

Variable Rate Shading (VRS): 可変レートシェーディング

可変レートシェーディングは、最も必要とされる部分にシェーダ作業を集中させ、目立たない領域では低減することでGPU効率を向上させます。

開発者の労力を最小限に抑えながら、VRSはGPUパフォーマンスを大幅に向上させ、認識できる範囲ではビジュアルのクオリティを損わずに、より安定した高解像度とフレームレートを実現します。

 

Variable Refresh Rate (VRR): 可変リフレッシュレート

可変リフレッシュレートは、HDMI2.1に新たに追加された機能であり、コンソールが画像をレンダリングできる速度と同じ速さでディスプレイをリフレッシュ(編者注:画面の書き換え)できるため、画面のちらつきがなく、よりなめらかになり、レイテンシが減少します。
私たちは業界をリードするTVメーカーと協力し、ディスプレイのエコシステムがXbox Series Xで提供する機能に対応できるよう活動してきました。

 

Quick Resume: クイックレジューム

Xbox Series Xの技術機能と革新的なXbox Velocityアーキテクチャを活用した新機能であるクイックレジュームにより、プレーヤーは複数のタイトルをシームレスに切り替え、前回中断したところから即座にプレイを再開できます。

 

Xbox Series X Storage Expansion Card: Xbox Series X ストレージ拡張カード

Seagate社との提携で構築されたこの1TBカスタムストレージソリューションは、Xbox Velocityアーキテクチャのフルスピードとパフォーマンスで、Xbox Series Xのストレージ容量を拡張します。以前の世代のXboxタイトルは、引き続き外部USB 3.2ハードドライブから直接プレイできます。
ただしXbox Series X が、Xbox Velocityアーキテクチャと最適なパフォーマンスの全てのメリットを享受するには、最適化されたゲームを内蔵SSDまたはXbox Series Xストレージ拡張カードからプレイする必要があります。

 

Xbox Wireless Protocol: Xbox ワイヤレス・プロトコル

レイテンシを低減させる最初のポイントの1つは、コントローラーとコンソール間の通信です。Xbox Oneバイスファミリーに搭載された高帯域幅、低レイテンシのワイヤレスプロトコルXbox Series Xに導入することで、ゲーム体験のレイテンシを低減できるだけでなく、既存のXbox Oneゲームアクセサリ全てがXbox Series Xと互換性を持つようになります。

 

Zen 2: ゼン ツー(AMD CPU アーキテクチャ)

Xbox Series Xに搭載されたカスタム設計プロセッサは、AMD最新のZen2 CPUアーキテクチャを活用しています。

Zen2はXbox One X のCPU性能を大幅に向上させ、Xbox One Xの4倍以上のパフォーマンスを実現しています。

 

120 FPS: 120 flame Per Second(画面を1秒間に書き換える単位)

Xbox Series Xでは、毎秒最大120フレームをサポートしており、開発者が従来の60FPSを超え、動きの速いアクションのためのよりリアルで正確なコントロールを実現できます。

 

〈元記事〉

〈参考記事〉