The Road to Next Gen Ludens

PlayStation, PSVR, ゲームなど興味のあるモノコト。

レイトレーシング有りのVR - 移動する視点に応答するレイテンシなき画像表示と、高精細画質レンダリングを両立させる、ジオメトリエンジンとプリミティブシェーダ -

次世代のPSVR、PS5世代のVR機器が話題になっています。ソニーインタラクティブエンタテインメント西野SVP執筆による発表記事が、PlayStation.Blogに掲載されました。

次のVRはPS5専用の周辺機器となるとか、どんな機能を持つのかなど、西野SVPはいろいろなヒントを文中に書いていますが、スペックを小出しにはせず、次のPSVRを追いかけて熱望してきた人々にとっては、やきもきさせる内容ではありました。

とはいえ、どのようにPS5が持つ4K/HDR/60fpsのパワーをVR筐体に落とし込むかという点で、ひとつの啓示を見つけたような気がします。

 

特開2021-028853

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/


ゲーム空間の位置座標において、「基準視点」を複数決める。

そしてそこに、レイトレーシングを施した高品質な「基準画像」を作る。

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プレイヤーが同一視点ならそのままデータの画素値を利用できる。差異があれば、基準視点との距離や角度に基づく重みで平均し、描画すべき画素値を決定する。

プレイ時、実際にマシンが負う処理は、ストレージに格納あるいはメモリにロードされたコンテンツデータを読み出して、加重平均するだけ。軽い処理です。

これで、VRの至上命題である、低レイテンシで応答性を維持しつつ、レイトレーシングなどの高品質な映像体験が可能になるわけです。

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PS5のGPUジオメトリエンジンレンダリングプロセッサ機能を両方持っている、と読めます。

サーニーは、GEに含まれるプリミティブシェーダが、もうレンダリングのパイプラインがスタートしているのにジオメトリを合成することができると言いました。

つまり用意されたデータから、ディテールをプロシージャルに位置や視点によって形や色を変えられる。
これがPS5のVRの核心技術だったのでしょう。

UE5のNaniteは、QuixelのMegascans ライブラリから、超高品質のフォトグラメトリ3Dアセットデータを引っ張ってきて難なく読み込みポリゴンに落とし込めますが、これも、PS5の超高速データ伝送を実現する統合I/Oが不可欠でしょう。

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そして、彼らの見せたピクセル一つ一つにプリミティブを抱え込むジオメトリの処理、これはPS5のGEしかできない。それはマーク・サーニーが断言しています。

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そういえば 、RE8『バイオハザードヴィレッジ』の技術デモ 『MAIDEN』のクレジットにも、当然ながら Quixel Megascan が載っていました。

カプコンは既に巨額投資してキャプチャスタジオを完備していますが、自前撮影だけでなく既存のライブラリから効率よくアセットが用意できて、しかもハードの制約なく思うように使えるのもPS5世代でしかできなかったことです。RE Engine ならではですね。