The Road to Next Gen Ludens

PlayStation, PSVR, ゲームなど興味のあるモノコト。

【SCEのVR史】 「部活」からの跳躍・PS3からMorpheus、PSVRへ

VR――PS3を経てPS4、Morpheus、PSVRへとつながる夢のゲーム体験

SONY - VR前史はこちら

http://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/sonyhistory-n.html

 

それは開発者たちの「部活動」からはじまった

 

2010年秋

PlayStation 3 の周辺機器、モーションコントローラー「PS Move」の開発が終わる頃、SCE開発スタジオの数人は、彼ら自身の仕事を終えた後、あくまで趣味的個人的な活動として、PS MoveコントローラーとHMD(ヘッド・マウント・ディスプレイ)を合体させたハンドメイドのVRシステムを作りはじめる。

それはPS Moveと、先んじて世に出ていたUSBカメラ「PlayStation Eye」、そしてヘッドマウントディスプレイの三つを連携させることによって、ヘッド・トラッキング(頭部の動きを追跡すること)を実現させようというものだったが、これを知った同じくWWS(SCEワールド・ワイド・スタジオ)に属する、世界中のクリエイター、プログラマーたちもやがて次々に試作し始めた。彼等はまず、Moveコントローラーをダクトテープで低解像度ビューワーに貼りつけた、手作りのVRヘッドセット、通称「ヘッド・プレイ」を創り出す。(アーリーモデル1)

http://i.imgur.com/9BF9tNx.jpg

2011年3月

次はさらに、三人称視点ゲームであるPS3の『ゴッド・オブ・ウォーⅢ』をハックして、ソニーが発売したHMD・パーソナル3Dビューア「HMZ-T1」と組み合わせ、PS3で動作し、ファースト・パーソン・ビューのアリーナバトルをプレイできるVR版『ゴッド・オブ・ウォーⅢ HMDデモ』を見事に作り上げた。(アーリーモデル2)

http://i.imgur.com/fJAVo4A.jpg

youtu.be

スタジオのメンバーに勧められて、このVRシステムをプレイしたWWSプレジデントの吉田修平氏は、ディスプレイ越しに見ると自分の体が『ゴッド・オブ・ウォーⅢ』のクレイトスになっていたことに大変感動したという。

尚、写真にあるように吉田氏は2010年の当初より参画しており、その度に実験ヘッドセットを試している。吉田氏は、スタジオメンバーの盛り上がりの熱気と、まことに簡素ではあったが3DゲームをVRHMDにより体験できたことを踏まえ、長いあいだ、世界中のゲーム開発者たちが夢見てきたVRの世界に、ついに現実に手が届くところまで来た、と実感させるに十分な証拠である判断し、この年、日本本社から正式な承認を得たことで、SCEIハードウェアグループと、SCEAのR&Dグループ、さらにWWSメンバーによる、部門を超えたグローバルチームが結成された。これがビッグプロジェクト「Project Morpheus(プロジェクト・モーフィアス)」の誕生である。

2012年3月

HMZ-T1と2本のMoveコントローラーを用いたデモプレイ動画が世に出る。Prastic社のPS3タイトルである『DATURA』のプロモーションビデオとして、かなり大掛かりなセットと撮影を経て公開した。これは、それまでのMoveコントローラーをHMDに連動させヘッドトラッキングを実装した試作モデルではなく、さらなる挑戦をものにしていた。Moveコントローラーのもう一本を実際に手で持って、本来のモーションコントローラーのように振り回して使った。頭の次は、手の実装である。ハンド・トラッキングをはじめて実装し、動作させた。

vimeo.com

(Plastic Demoscene Groupのコメント)

Just a couple of weeks before GDC 2012 we were asked by Sony to try to write a simple head tracking functionality with the use of Playstation Move motion controller for our PSN title Datura. They said that the virtual hand looks magical in their HMZ-T1 personal projector and we should try to improve the immersion even more so everyone could get a glimpse of what future gaming would look like. Thanks to our friends from Platige Image we were able to prepare even more immersive setup ... Enjoy!

SCEA R&Dグループが制作した次のプロトタイプは、さらに正確なトラッキングを実現するためにMoveコントローラーのLED部分を3つ装着、搭載センサーも移植し、ディスプレイ部も独自開発に入った。(VRプロトタイプ1)

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" Project Morpheus " 開発の始まり

2010年からスタートした、PlayStationによるVRHMDの取り組み。プロジェクトが進行するにつれて明らかになっていくのは、目指すVR体験と現行機(PS3)とのマシンパワーの差であった。やがて十分なパフォーマンスを発揮するため、次世代機である「PS4」向けの周辺機器として開発を行うことを決定した。

2013~

新しいコンセプトでつくられたPlayStationのカメラ、Playstation Cameraは、モーフィアスのトラッキングに必要な機器であるためにPS4の付属品となった。

多くの人から、なぜほとんどのタイトルに対応していない Playstation Cameraを、PS5本体に付属させるのか、とPS4のデビュー時に一斉に質問攻めにされたが、当時未発表であったMorpheusのためであるとは説明できなかったため、一般的な内容で胡麻化したのだった。

PSVRPS4の開発は、ほぼ同時並行で進行していた。商品としての発売はPS4が先行。

PS4本機には後からPSVRを迎えるための、いくつかの“仕込み”が実はなされていた。

それがPS4と同時に発売した、レンズと撮像センサーを2基搭載する『PlayStation Camera』である。PS3PlayStation Eyeは単眼のカメラユニットであり、“PS Move”の位置情報をXYZの立体座標で取るために“光る球体の大きさ”で距離を測定した。

PS4のシステムでは、VRヘッドセットやデュアルショックコントローラーに搭載されているLEDライトバーから出た可視光を、2眼式であるPlayStation Cameraでキャプチャーして、より正確な奥行き情報を速く取得出来た。

(VRプロトタイプ2)

http://www.gamespark.jp/imgs/zoom/86272.jpg

(VRプロトタイプ後期) ※ちなみに楽しそうに「The Deep」デモを体験している女性は、2016年PSVR発表を前にSCEロンドンスタジオを退社した、Dave Ranyard 博士の母堂である。

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http://i.imgur.com/xlxVa4r.jpg

http://i.imgur.com/vIBWnKL.jpg

Sony Reveals Development of PlayStation VR - EGX 2015 Developer Session

https://www.youtube.com/watch?v=-bcNswOSQg0

20 Years of PlayStation: Sony Boss Shuhei Yoshida Remembers - EGX 2015 Developer Session

https://www.youtube.com/watch?v=THoOapIs8oA

PlayStation Experience | Virtual Reality: A New Era for Games Panel

https://www.youtube.com/watch?v=OcyKhtHOc5U

http://www.gamespark.jp/imgs/zoom/86272.jpg

Sony's Dr. Richard Marks On PlayStation VR At Immersed 2015 (Video)

https://youtu.be/vBugMeeZE2Q

http://www.tomshardware.com/news/sony-richard-marks-playstationvr-immersed,30269.html

 

吉田氏の発言より:

(Sonyの)HMDグループとはずっとコミュニケーションをとっていた。

Morpheusのプロトタイプが彼らの製品を応用したもので、PlayStation Moveと一緒に使っていたぐらいですから、彼らにも見せたり、研究成果を提供しています。

彼らがつくっているのは個人用のシアターで、われわれがつくりたいのはゲームの中に入るというVR目標が全然違うというのがすぐに分かって、「こっちはこっちでやります」と別のプロジェクトとして立ち上げた

その状態でずっとやってきて、HMZの開発チームは商品を出しているし、最新版ではプロトタイプでセンサーを乗せました。

しかし、その方向性が違うものを見て、外からは「あれをVRに使うのはダメだろう」という意見が書かれてしまいました。われわれも「うーん……」と思っていましたが、VR用として出すのは)実はMorpheusでしたというのは言えなかった

 

メディア関係者の間では、2014GDCの前に、SCEHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を出すんじゃないかという噂があった。既に複数の開発者がプロトタイプを試しているとの情報が流れていたためである。

www.ign.com

そしてこの後、GDCのガイドには掲載されていなかったSCEのセッションがオープニング直前に公表されたため、その内容(SCEの将来へのロードマップを描くというものであった)とともに新しい製品の発表があるのでは、と誰もが予測しえたのである。

 

2013

2013/02/21 PlayStation 4発表

www.4gamer.net
ワイヤレスゲームパッドDUALSHOCK 4」と専用カメラ「PlayStation 4 Eye」を発表
新たに開発したPS4専用カメラPlayStation 4 Eyeは、対角視野角85度の広角レンズを持った二つの高感度カメラを搭載しており、空間の奥行きまで正確に検出します。これにより、例えばプレイヤーの映像のみを背景から切り取る、あるいはPlayStation 4 Eye の前でプレイしている2人のプレイヤーの前後関係を把握することなど可能になり、ゲームの楽しみ方がさらに拡がります。また、4つのマイクを搭載したことで、音源の方向を検出することが可能になりました。
 加えて、ユーザーの皆様の顔の画像をあらかじめPS4TM本体に登録して顔認識ログインすることや、ユーザーの皆様の体の動きや音声などで直感的にゲームをお楽しみいただくことが可能になります。
 さらに、DUALSHOCK 4のライトバーの色で、カメラの前にいる複数のプレイヤーの位置を検知判別し、ゲーム内のキャラクターをカメラの前にいるプレイヤーと同じ順番に配置する、あるいは特定のプレイヤーに向かってゲーム内のキャラクターが話しかけるといった、今までにないゲームの楽しみ方をお届けいたします。PlayStation 4 Eye はPlayStation Moveモーションコントローラーにも対応しています。PlayStation 4 Eye はPS Moveの動きをより正確に検知し、プレイヤーの動きを今まで以上に忠実にゲームに反映します。

2013/02/22 PlayStation 4 発表直後

www.4gamer.net
――DUALSHOCK 4のライトバー(関連記事)でできることは,PS Moveとどれくらい差があるのでしょうか。
  びっくりするほど「差はない」のですが,あえて挙げるとすれば,奥行きの測定精度でしょう。その代わりというわけではないですが,X軸とY軸の測定精度は非常に高いです。加えて,DUALSHOCK 4には,PS Moveよりもいいセンサーを入れていますので,すごく微妙な操作ができるようになっています。
――PlayStation 4 Eyeは二眼なので,深度も測定できると思いますが,それは無理なのでしょうか。
 いえ,できます。ただし,正確性がPS Moveよりはちょっと劣りますね。

――つまり,DUALSHOCK 4は「PS Move的なことがほぼできる」と考えていいわけですか。
 そうです。一方でラケットのように,片手で使うモノに見立てるなど,PS MoveにはPS Moveの良さがあるので,PS4でもそのまま使えるようにしました。
  ちなみにPlayStation 4 Eyeでは,カメラの解像度も,PlayStation Eyeのそれよりも上げ,さらにアングルも広げたので,PS Moveの性能をさらに引き上げられます。DUALSHOCKのほうでは,PS3でできていなかったことや,なかったものを補う形で開発しました。

2014

2014/02/21 PS4 日本ローンチ直前インタビュー

www.inside-games.jp

初代PlayStationPlayStation 2の頃は我々もSCEIからハードを渡されてから製作を行っていました。PlayStation 3をローンチしたときに、ハードのスペックというかアーキテクチャがあまりにもユニークだったのでサードパーティが最初すごく苦労されたんですね。このことについては、PlayStation 3を発売する直前のE3になって私も驚いたんですけど、実機でデモできるサードパーティのゲームがとても少なかったんです。それぐらい苦労されてて、なかなかゲームを動かせない。それに、マルチプラットフォームでやっている会社はPCがベースだったりするので、開発環境があまりにも違うPlayStation 3版だけ遅れている状況もありました。

SCEワールドワイド・スタジオができたのはPlayStation 3の発売前で、当時も自分たちのために技術を共有するツールやエンジン、ライブラリなどを作っていたんですね。サードパーティがすごく遅れをとっていることがわかって、SCEIの人たちからSCEワールドワイド・スタジオで使っている開発ツールをサードパーティに提供してもらえないかというリクエストを受けました。それをキッカケにSCEワールドワイド・スタジオのほうがハードを使いこなす一部の開発ツールを製作するのが得意だというのが、SCEISCEワールドワイド・スタジオの双方にわかったんです。それからは、オフィシャルの開発環境に入れるツールやドライバを支度して納品したあと、SCEIを通じて全ライセンスのPlayStationの開発者に提供しています。

こうしてサードパーティのみなさんからは、ハードの中身もわかっていて、開発ツールもいいものを提供してくれると評判が高いです。それは、ハード開発の時点でいろんなサードパーティの意見を聞きながらやっていたのと、ツール開発自体もゲームの開発チームの意見を聞きながら製作を行ったから。

映画は、もう何年も前にお金をかけてレンダリングをして、どこがデジタルかリアルかわからないところにありますけど、ゲームがそこまでいくのはまだ時間がかかります。とはいえ、トップクリエイターの作品というのは、もうそこまで来ているんですよね。PlayStation 4が発売した後も、デベロッパーがよりハードに慣れてくる頃が来ます。3年後のノーティドッグの作品というのは、もうワクワクしてきませんか。

―――海外でカメラが品薄だという情報があります。
 海外でPlayStation Cameraが品薄なのは、シェア機能を楽しんでもらっている影響ですね。海外のマーケティングの人にも「これ、楽しいから売れますよ」って言っていたんですけど、カメラや周辺機器はそれに対応したタイトルソフトがいくつあるかとか、それがどれぐらい売れていくかで仕入れ数を決めてしまうんです。現在でいえば、「プレイルーム」くらいしか対応ソフトしかありません。ですが、いざ発売すると「顔出し生放送」が面白いということで、生産が追いついていない状況です。ゲームだけではなく、ギターのプレイなど、自分放送をしている人たちもいて、それを見て楽しむ人たちも大勢います。日本は何故なんでしょう、カメラ付きの予約数が多いんですよ。カメラがあると本当に楽しいというのは言っておきたいところですね。

 

2014/03/18 Project Morpheus を発表

GDC 2014]セッション:Driving the Future of Innovation at Sony Computer Entertainment」(Sony Computer Entertainmentにおける「将来の革新」の道筋)

http://www.4gamer.net/games/251/G025118/20140319098/TN/002.jpg

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GDC 2014]インタビューと独自取材で見えた「Project Morpheus」7つの秘密。液晶パネルは特注品だが,有機ELパネル採用の可能性もアリ?

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Project Morpheusでは,5インチサイズで解像度1920×1080ドットの液晶パネルを使用している。このパネルで90度の水平視野角を実現するために,やや倍率の大きい拡大光学系のレンズを採用しているそうだ。

Project Morpheusは,HMD本体に加えて,PlayStation 4(以下,PS4)とのインタフェースとなる「プロセッサーユニット」で構成される。HMDプロセッサーユニットは,映像信号と向きおよび位置情報をやり取りするための専用ケーブル1本で結ばれる。

 ちなみに,このケーブルの正体は,HDMIとUSBをケーブル1本で伝送できる「MHL」(Mobile High-definition Link)だという情報も耳にした。

 プロセッサーユニットの背面には,PS4と接続するUSBポートとHDMI入力端子,パススルー用のHDMI出力端子があった。パススルー端子は,HMDのユーザーが見ている映像を他の人も確認できるよう,テレビとつなぐために用意してあるのだそうだ。

 このプロセッサーユニットには,いくつかのプロセッサが搭載されている。

 その1つが,映像の歪みを補正するイメージプロセッサだ。

※以下は改稿前の文章

このプロセッサーユニットには,いくつかのプロセッサが搭載されている。

 その1つが,立体音響を作り出すデジタルサウンドプロセッサ。Project Morpheusでは,プロセッサーユニット内で立体音響を作り出しているというわけである。ただし,これは確定した最終仕様ではないとのことで,PS4側のプログラマブルDSPを使用する可能性もあるという。

 2つめは,映像の補間フレーム生成(FRC,Frame Rate Conversion)を行うプロセッサ(以下,FRCユニット)である。FRCユニットは,PS4から送られた映像を1フレーム分バッファリングし,過去のフレームと現在のフレームで相関関係を調べ,補間フレームを作ることで映像を120fps化(=倍速化)して表示する仕様になっている。

 そのためProject Morpheusでは,映像の表示遅延が1フレーム+α程度生じることになるが,遅延と引き替えにはなるものの,倍速化によって液晶パネルの残像感を低減させるほうが重要だと,開発スタッフは考えたようだ。

 プロセッサーユニットには,映像の歪みを補正するイメージプロセッサも搭載されている。HMDに内蔵された拡大光学系を通すと,映像がどうしても歪んでしまうためである。Riftの場合は,GPU側であらかじめ「歪み吸収マトリックス」を介してレンダリングしてしまうことで,最終的に歪みのない映像を実現する仕組みを採用した。一方のProject Morpheusでは,レンダリングは通常どおりに行い,プロセッサーユニット内で補正をかけているというわけだ。

 繰り返しになるが,これらの仕様はまだ試作段階のもので,製品版にFRCユニットやイメージプロセッサを搭載するかどうかは,まだ決定していないとのこと。FRCユニットやイメージプロセッサが担当している処理系をPS4GPUにオフロードする可能性も考えられる。

※2014年3月24日10:25頃追記  イメージプロセッサに関して続報を入手できたため,本文の一部を更新しました。

 実のところ,Project Morpheusでは,「HMDに内蔵された拡大光学系を通すと,映像がどうしても歪んでしまう」問題に対して,あらかじめ「歪み吸収マトリックス」を介してGPU側からレンダリングしてしまうことで,最終的に歪みのない映像を実現する仕組みを採用している。このあたりはRiftと同じだ。

 では,イメージプロセッサは何に使うのか。

 すぐ上で述べたとおり,Project Morpheusでは,ユーザーが見ている映像を,パススルー端子経由でテレビへ出力する機能を持たせている。しかし,PS4側のGPUで「HMDで覗いたときに正しく見えるよう,歪んだ映像をリンダリングしている」ので,これをこのままテレビに出力してしまうと,歪んだ映像がテレビに表示されてしまう。これを正しく表示できるよう,イメージプロセッサで補正をかけるのだ。

 もう1つ,立体音響を作り出すデジタルサウンドプロセッサもProject Morpheusには搭載されている。Project Morpheusでは,プロセッサーユニット内で立体音響を作り出しているというわけである。

 ただし,これらは最終仕様ではない。イメージプロセッサを搭載して,パススルー出力をサポートするかどうかは未決定だ。また,デジタルサウンドプロセッサを使わずに,PS4側のプログラマブルDSPを使う可能性もあるという。


2014/03/22 SCE吉田氏インタビュー(前編):GDC2014 

weekly.ascii.jp
――GDCの前に、SCEさんがヘッドマウントディスプレーを出すんじゃないかというウワサがありました。同じソニーの“HMZ”シリーズのように従来のHMDの延長であったら、先行する『Oculus Rift』の体験に勝てないと危惧していましたが、予想を上回る本気でつくり込んだ製品が出てきたという印象です。
ソニーHMDの人たちとは、ずっとコミュニケーションをとってるんです。Morpheusのプロトタイプが彼らの製品を応用したもので、PlayStation Moveと一緒に使っていたぐらいですから、彼らにも見せたり、研究成果を提供しています。でも、彼らがつくっているのは個人用のシアターで、われわれがつくりたいのはゲームの中に入るというVR。目標が全然違うというのがすぐに分かって、「こっちはこっちでやります」と別のプロジェクトとして立ち上げました。
 その状態でずっとやってきて、HMZの開発チームは商品を出しているし、最新版ではプロトタイプでセンサーを乗せました。しかし、その方向性が違うものを見て、外からは「あれをVRに使うのはダメだろう」という意見が書かれてしまいました。われわれも「うーん……」と思っていましたが、(VR用として出すのは)実はMorpheusでしたという。やっと言えたので、すごくうれしかったです。
――いちばん気になるのは発売時期ですが、今年中に発売されたりしますか?
吉田 やっとプロトタイプができて、ここからもうひとふたねばりして変えていかなきゃいけないので、今年は絶対にないです。来年以降はいつでも可能性がありますが、われわれもまだ決めていないです。解決したい技術的な問題がいつ解決できるのかがちょっと見えてない部分があるので。

weekly.ascii.jp

背面ユニットには、頭を固定するためのダイヤルがある。

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PU

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デモでは表に出してませんが、『The Deep』は横で見てる人がポイントとルートを指で描いて、プレイヤーの映像にカメを出せるようになってます。そのカメにサメが食い付く。Wii Uみたいに、プレイヤーの体験を周りの人がいじくって遊べるんです。Morpheusをかぶった人にお化け屋敷に入ってもらい、周りの人がここにお化けを出そうとか、落とし穴をつくろうとか話していっしょに遊ぶとか、みんなで集まってワイワイやれるものにしたい。
我々は「MorpheusはPS4の周辺機器じゃありません」と言っています。ゲームファンには新しもの好きも多いので、最初のターゲットユーザーには間違いないんですが、VRでできることはもっと幅広い
──Morpheusの正式版では、どんな製品構成になるんでしょうか?
 最終商品の形は決めていないので、今の想定でいえばヘッドマウントとプロセッサーユニットがキットに含まれます。PSカメラも必要なんですが、すでに発売しているので持っている方もいらっしゃるかと。
──将来的にVRコンテンツで遊ぶために、今からカメラ同梱版のPS4を買っておくといいかも?
 そうです、そうです(笑)。PS Moveも捨てないでおいて下さいね。

2014/06/01 吉田修平インタビュー 黒川文雄

www.gamespark.jp

ラッキング技術の背景には、「プレイステーション2」時代の『EyeToy』や「プレイステーション3」時代の「PlayStation Moveモーションコントローラ」(PS Move)など、ずっとカメラを使った3D空間認識技術のアルゴリズムを研究しているアメリカのチームがあります。PS Moveは、その開発過程の商品としてのひとつの結果ですが、今から考えるとVRの入力コントローラーだったと思うんです。
PS MovePlayStation Eyeと組み合わせ、コントローラが3D空間上のどこにあり、どちらを向いているのかなどを確認できるものだったんです。PS Moveには、プレイヤーの手の位置がわかるポジショントラッキング技術が活用されています。前のフレームから次へ、ユーザーの手がどのように動いたかを図るのにジャイロセンサーだけでは相対的な動きしかわからないのですが、ある空間のなかで、絶対座標の位置がフレームごとにわかるのがPS Moveだったんです。ですから実は技術的には「ムーブすげぇえ!」とか思っていたわけです。
それで世の中に出したんですが、実は入力側で3D空間の処理ができたとしても、ゲームではテレビの画面(平面)上でしか表現ができませんでした。ですからPS Moveですぐれた技術を使ってゲーム体験を作るということはとても難しかったんです。ゆえに当時はPS Moveのポテンシャルをフルに活かした作品というのは生まれにくかったんです。例えば『スポーツチャンピオン』の卓球のゲームではPS Moveがデバイスとしてすごく喜ばれたんですが、それはやはり正確なトラッキングができたからなんですよ。一方フリスビーとか腕の正確な動きが反映できるもの以外は、残念ながらゲームにうまく活かすことがなかなかできなかった。
ゴーグルタイプとバイザータイプ
バイザータイプを選択しました。頭に載せる方法です。もっとわかりやすくいうと、頭全体で支えて、バンドは補助的なものにすることで装着感を軽いものにしています。また、バイザーのバンドの後ろの部分に敢えて「重石(おもし)」を入れています。これによって重さのバランスが取れて、頭全体で重さを平均的に分散させている
プロトタイプ本体の重さは、実はうちのプロジェクト モーフィアスのほうがオキュラス・リフトよりも重いんですが、前面のプレッシャーや装着感がすごく軽くなっている
課題
高画質ディスプレイと、3Dセンサー、3Dグラフィックスをリアルタイムに再現するパワフルなPS4の組み合わせでバーチャルな映像や視覚が実現できると、重要な要素としてあと足りないのは入力、聴覚(サウンド)です。
GDCで展示したプロトタイプはその3つの要素を全部実現しています。
指摘しないとなかなか気が付かれないのですが、こり3つの要素はSCEとしては実現できていると思っています。しかも、それらすべて、今からもっとよくなるように開発を行っています。ディスプレイ、センサー、ビジュアル、入力、トラッキング、3Dサウンド、すべてにおいて改善の余地があると思います

2014/09/03  CEDEC 2014 吉田修平講演「VR ~Project Morpheusで体感する未来~」

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装着法として,長く使っていても疲れないように,HMD部の重さは頭で支え,本体をぶら下げるバイザー方式が採用されている。バイザー方式なので,スクリーン部分を前後に自由に動かして位置調節ができ,メガネをかけていても問題なく装着できる
VRが普及するかどうかは,すべては品質の高いコンテンツが集まるかどうかにかかっている
品質向上のためにノウハウや情報交換などが必要という認識を示した。
広く受け入れてもらうために,VRを体験できる機会をできるだけ多くすること,新しい技術ができたときにありがちな偏見を抑え,仮想世界に遊ぶVRが根暗な趣味などではなく,明るいイメージで社会に受け入れられるようなイメージ作りをしていくことが重要
社会の受容については楽観視。百見は一体験に如かず VR体験がもたらす情報量と説得力は膨大

 

2014/09/20  TGS 2014  SCEJAブース

www.4gamer.net

HMDの装着感だが,結論からいうと,非常にいい。本体が非常に軽い――おそらく300g程度ではないか――ので,違和感なく頭を動かすことができる。
ヘッドフォンアンプが内蔵されており,3.5mm径のヘッドフォン出力端子を利用
本体底面左端にヘッドフォン出力端子
インラインリモコンには,Morpheusの電源をオン/オフするための電源ボタンとは別に,ヘッドフォン出力時の音量を調整するための[+][-]ボタン


2014/12/15 PlayStation Experience VRパネルセッション

www.inside-games.jp

Morpheus開発の始まりに関して、もともとSCEの開発スタジオのメンバーによる部活動のようなものだったという事実が吉田氏から語られました。PS3向けモーションコントローラーであるPS Moveの開発後に、何人かのメンバーが仕事後の個人的な活動としてPS Moveとヘッド・マウント・ディスプレイを合体させたハンドメイドのVRシステムを作っていたそうで、仕事を終えたプログラマー達も参加してPS3で動く『ゴッド・オブ・ウォー』のVRデモまで製作していたとのことです。
スタジオのメンバーに勧められてそのVRシステムをプレイした吉田氏は、ディスプレイ越しに見ると自分の体が『ゴッド・オブ・ウォー』のクレイトスになっていたことに大変感動したそうです。その後、彼らはカメラ機能を外したVRデモを開発し、日本の本社から正式な承認を得て「Project Morpheus」という大きなプロジェクトに変わったと語られました。
しかし、当時の現行機であったPS3では十分なパフォーマンスが発揮されないと判断し、次世代機であるPS4向けの周辺機器として開発をすることになったそうです。また、PlayStation Cameraはモーフィアスのトラッキングに必要な機器であるためにPS4の付属品となりましたが、多くの人からなぜほとんどのタイトルに対応していないPlaystation Cameraを本体に付属しているのかという質問をPS4リリース時にされ、当時未発表であったMorpheusのためであると説明することができず苦い思いをしたとも語っています。
 Morpheusのゲーム以外の活用については、吉田氏がすでにVRコンテンツに興味を持っているハリウッドの映画会社にアプローチを行っているとのことで、将来的にはPSNを通してVRに対応した3D映画やTV番組などを観れるようにする計画があることも明らかにしています。


2015

2015/03/03 新型『Morpheus』発表、2016年上半期に発売【GDC2015】

game.watch.impress.co.jp

http://game.watch.impress.co.jp/img/gmw/docs/691/076/pm_19.jpg

改善・変更点

・リフレッシュレート:60Hz→120Hz

・ディスプレイ:5インチ液晶パネル→5.7インチRGB配列OLED(有機EL)パネル

・応答速度:18ms未満

・LED:6基→9基、サイズ大型化・形状変更

・ヘッドセット機構:スコープ部重心・ダブルベルト方式→頭頂部重心にバランス変更・頭頂部を通るバンドを廃止してシングルバンド化で脱着が用意に

・スコープ部:前後スライド式に変更し調整レンジを拡大、下部視界を確保

・ヘッドホンジャック:HMD本体→インラインリモコン

・デザイン:バンド部スライドボタン・スコープ部スライドボタンの形状変更等、細部変更多数

・各社開発エンジン対応

プロセッサーユニット:PU搭載のDSPをアップグレード、従来の3Dオーディオから更に新開発、特に高さの定位精度が向上

・新開発3DオーディオSDKを提供:対応ミドルウェア

  Audiokinetic社のSCE-VR専用Wwise SDK)、FireLight社のFmod、CRIミドルウェア社のCRIWARE

・Live2D Euclid 対応

・OPTPiX SpriteStudio 対応

game.watch.impress.co.jp

 

2015/03/04 GDC2015 現時点でプロジェクト・モーフィアスは最もつけ心地の良いヘッドセット

www.polygon.com
バイザースタイルで圧迫感や疲労が少なく、一本のバンドだけで頭部に固定することで着脱が楽なデザイン
PS4をアップグレードする必要がない
すでにコントローラーがある
開発会社との関係
他のハードウェアメーカーと提携する必要がない 単独でVRヘッドセットを開発し、さらに販売もできる唯一の企業

 

2015/03/06 

dengekionline.com

顔の前面にHMDを押し付けてバンドで固定するOculus RiftのDK2などとは異なり、前頭部から後頭部にかけて斜めにリングをかぶって締め付けるので、顔の圧迫感が非常に少ない。押し付けタイプのHMDは、コンテンツによっては数分で汗でレンズが曇ってしまったり、暑さで不快感を感じてしまうこともあるが、Morpheusは長時間の装用に向いている
HMD部の右下にはボタンが用意されており、押すことで前後にHMD部を移動できるので、メガネを付けてる人も装着しやすい。さらに大きく前に動かせばリアルの世界が視界に入ってくるので、HMDを外さずに飲み物やコントローラーを取ることが可能だ。かなり実用レベルまで、装着感を突き詰めているのが伝わってきた。

2015/03/06 2016年は“VR元年”と呼べる年になる―― SCE吉田修平氏にモーフィアスの展望を訊く!【GDC 2015】

dengekionline.com

――今回発表された試作機は市販型の最終形に近いというお話ですが、これから調整されるところなどはあるのでしょうか?
 基本形はもうできています。ただ、エンジニアからしてみると機構的にも電子工学的にもまだまだブラッシュアップすべきところが残っています。今後の調整項目を想定してロードマップを描くと、2016年の前半にはリリースできるという計算です。実際に発売される製品と現在の試作機は、おそらく同じように見えると思います。
――昨年のプロトタイプから、ディスプレイが液晶から有機ELに変わって、スクリーンサイズも大きくなり、トラッキング用のLEDも3つ増えたりと、大幅に改良されていますね。
 でも、モーフィアス本体は小さく、軽くなっているんですよ。そこはエンジニアががんばって、ギリギリまでシェイプアップした結果ですね。

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2015/03/07 開発はブラッシュアップの段階へ。発売時には最高のVR体験を約束!

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2015/03/10 SCE吉田氏が語る新型Morpheus 

weekly.ascii.jp

DUALSHOCK 4の背面にLEDをつけたのは、このVR向け位置トラッキングがやりたかったからなんです。しかし、PS4を発表した当初は、Morpheusの開発が表に出てなかったので、なぜLEDがあるのか説明できなかった。一部のユーザーからは「部屋を暗くして遊びたいときに光が邪魔だから消してほしい」とお叱りの言葉をいただいたこともありましたが、「いやそれは……」と言えなかった。
頭につけるHMDDUALSHOCK 4、モーションコントローラー『PlayStation Move』のすべてを、ひとつのPSカメラで位置トラッキングできます。これはデベロッパーにとって、各デバイスの3次元座標を取りやすくて、ゲームを開発しやすい。
―― DUALSHOCK 4のLEDは背面だけなのに、ひっくり返してカメラから見えなくしても、わりと位置を検出してくれました。
見えないときは内蔵センサーで補正しています。そのままLEDが見えないと、いずれはズレてしまいますが、結構それっぽく動いてましたよね?
―― 結構というか、普通に気づかないレベルです。

weekly.ascii.jp

繰り返しになりますが、新型Morpheusは1080p/60fpsに最適化されたコンテンツを一番美しく見せるシステムです。やはり家庭用機なので、スマホのように半年ごとに新製品を出すわけにはいかないじゃない。長く使っていただける、ちゃんとしたものをつくろうという意図です。
ハードをどんどん進化させていくと、マーケットが断片化してしまう。最新のハードを持っている人はいいかもしれないけど、古いのでは処理落ちしてしまう……というのは、家庭用機では違いますよね。VRでも同じだと思います。
PC向けのVRHMDは、どんどん進んでいっていただいて構わないんです。ビジョンをみんなに見せて、「VRってすげー」と多くの人を思わせる。でも、ハードは変わらなくても家庭用機のゲームって、すごく進化するんですよ。PS3でもローンチ時と最後でくらべていただければ、同じハード向けとは思えない内容になってるじゃないですか。
PS4は、PCと違ってハードの一番下まで触れるようになってます。マーク・サーニさんががんばってつくった『GPGPU』とか、あまり使われてない機能がPS4には残っている。デベロッパーさんはそういうのを使い込むのが好きなので、Morpheusでものちのちネイティブで120fps駆動するのに効いてくると思います。

2015/06/17 【E3 2015】カンファレンスがあそこまで盛り上がるとは思わなかった―SCE WWスタジオ 吉田修平氏にインタビュー

www.gamer.ne.jp

――先日、Oculus Riftの発表が行われましたがMorpheusの戦略は?
今年はGDCで最終版のハードをお披露目し、発売時期は来年の前半とお伝えしています。E3ではゲームコンテンツを体験いただくと決めていました。フロアでも20タイトルほど用意しています。実は、ファーストもサードも出展の希望はもっと多かったのですが、ブースの関係で選ぶ必要がありました。良い感じで進んでいます。
ハードの開発も順調ですしコンテンツの開発も増えているので、発売時期や価格、OS的なものなどの情報はどこかの段階でお伝えできると思います。もうしばらくお待ちください。
(RIGS)マルチプレイでネットワークで遊ぶことができます。
――少し前にPS Move 2の噂がありましたが?
あれは、全くの偽物です。パンフレットにむちゃくちゃなことが書いてあるらしいですね。(注 出回ったフェイク画像)

http://i1295.photobucket.com/albums/b626/da1writer/PlayStation_Move_2_05-600x803_zpsks0n7got.jpg~originalhttp://i1295.photobucket.com/albums/b626/da1writer/project-morpheus_1434271474_zpsekv7n98s.jpg~original

――実際のところPS Moveの次世代版の計画は?
計画はありません。最初からPS4はPS CameraとDUALSHOCKPS MoveとヘッドセットをすべてLEDのトラッキングで一度に扱う設計をしています。
将来にわたって何も作らないかといえば、そんなことはありませんが、(Morpheusが)来年発売するときにはその構成ですね。
――Morpheusを買おうと思っている人はPS Moveを先に買ってしまっていいんですね。
そうですね。PS MovePS3の時からすでに持っている方もいらっしゃいますので、それが使えなくなってしまうのは良くないなと思っています。
――さまざまなVRバイスが開発されていますが、その中でMorpheusでの展開を目指すインディーはあるのでしょうか?
いっぱいありますよ。技術的には似ているんです。Oculusさんとスペック的にも似ていますし、PS4アーキテクチャもPCアーキテクチャですし、特にUnityとかUnreal Engineを使っているOculusタイトルであれば、2日間でMorpheusで動かすことができますミドルウェアの強さですね。そのあとに最適化をしなければなりませんが、Oculusで作っていて、Morpheusの開発環境が手に入ったのでPS4に載せ替えてみたら1週間もかからずにできました、という話は凄く多いです。

2015/06/19 Oculus Rift製品版とProject Morpheusを徹底比較 

av.watch.impress.co.jp

2015/07/17 GTMF2015

www.asuka-xp.com

2015/09/04 [CEDEC 2015]VRゲームエンジン開発はここに注意せよ。「The PlayRoom VR」エンジンを開発したSCEジャパンスタジオが秘訣を伝授

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レイテンシをブレとして可視化させるデモ

www.youtube.com

 

2015/09/18 【TGS2015】“Project Morpheus”改め“PlayStation VR”の今を聞く! 発売はそう遠い未来ではない!?

dengekionline.com

――PS4の開発のときはデベロッパーさんとディスカッションしながら仕様を決めていったと聞いているのですが、VRに関しても同じでしょうか。
 今回は、さらにもっと深くやらせていただいてます。今回一番気になっているのが“酔い”なんですよ。ハードウェアとしてどう作ったらいいか、逆にゲーム性としてどうしたらいいか、本当に初期の頃から深くディスカッションしながらやってます。我々としては、健康に直結することもありますので、100%完璧は目指せないかもしれませんが、なるべく酔わないようにしたいんですね。だからデベロッパーさんがゲームソフトを作るうえでどう作ればいいかとか、ファームウェアをどうチューニングしていけばいいかとか、いろいろと試行錯誤している段階なんです。それが大体、上半期のどこかで出せるレベルまで持って行ければと考えています。

――ちなみに上半期というのは何月から何月ですか?
 1月から6月ですね。発表の時期がすごく難しいので、そこはよく考えたいと思います。

我々はワールドワイドスタジオも持っていますので、ゲームソフト、ハードウェア、HMDのすべてを自分たちだけでチューニングできるんですよ。だからそこが一番の強みかなと考えています。実際発売するときにPSNもありますし、最初から最後までの一貫した流れを持っていますので、そこは他社さんに比べてアドバンテージを持てるところだと思います。

――ハードはほぼ終わって、システムソフトウェア側の調整が残っている段階ですか

 システムソフト側と、デベロッパーさんのソフトの調整ですね。システムソフトウェアのレベルでは、まだ変更があります。今後のソフトウェアのチューニングによって、今回のTGSで体験したものより質は上がっていくと期待してください。――TVの前にどれだけの広さの空間を用意しておけば安心できますか?
 それぞれのご家庭で環境は違いますが、基本は手の届く範囲が開けていれば問題ないかと思います。
――VRの場合、1回のプレイごとに休む目安は?
 目安は業界的にも今のところないのですが、そこは議論中ですね。たとえば今回展示させていただいている『RIGS』だと、1回あたりのプレイ時間はわりと長いです。健康のことを考えてどんな形がいいのかを検討しています。人によって個人差があるので難しいんですよね。

――開発チームはどういった経歴の方々が集まってらっしゃるのですか?
 いろんなところから集まって来てますね。過去にSonyHMDの開発チームいた人間もいますし、システムソフトウェアのチームも入っています。それこそ上半期に向けて各分野の専門家が集まってきているという感じです。もはや総力戦ですね(笑)。

――没入感を重視した場合、ゲームよりも実写に近いほうがいい、ということはあるのでしょうか?
 むしろ、ゲームこそVRに適していると思います。というのも、実写だといろいろテクニックが必要なんですよ。360度ぐるっと撮影するパノラマ写真とか。CGはPS VRの視野や、ユーザーさんのに合わせて作ったり調整したりできるので、ゲームのほうがVRは適しているんじゃないかと。

 

2015/09/22 【TGS2015】PlayStation VR開発トップ伊藤雅康氏インタビュー「PlayStation 4エコシステム」の全容とは?

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―――ソニーさんのHMZでは一定時間で警告が出ていたと思います。非常に不評でしたね

あれはちょっとどうなのかな、というのはあるのですが、PlayStation VRはハード的にはどれだけ装着していても大丈夫なように設計はしています。ただ人によって、違いがありますのでどこまでやっていいかどうか、非常に難しいところです。

―――ローンチのタイミングではどれくらいのコンテンツを準備する予定でしょうか

少なくともSCEWWのタイトルはローンチの際には、用意できるように進めています。―――「PlayStation VR」とのセットでの利用が想定されているPlayStation Moveは2010年のPlayStation3時代のハードウェアだと思うのですが、そういった「世代交代」はどうのようにお考えでしょうか

有り物は全部使っちゃおう!」という考えでスタートしていますが、将来的にはPlayStation Move含め世代交代・進化は考えていかなければ、と思います。一巡したら、そういった部分もいろいろ変わっていくと思います。


2015/09/24 SCE開発2トップに聞くPS4PlayStation VR  

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 新しい世代のプラットフォームを作るときには、ポータブルでもコンソールであっても、必ず「今新しく使える技術はないか」と検討するのですが、モーションセ ンサーがどんどん安定してくると、ゲームという、ユーザーがダイレクトで正確な反応を求めるアプリケーションにおいても、使いやすくなる、ということが言 えます。

ポジションが正確に取れるようになってきたがことがゲームに大きな影響を与える、というのはまさにおっしゃる通りなんです。PlayStation Moveを作ってプロモーションしている時も、ユーザーの方々にはそこがわかりづらかった。PS Moveがとっているのはモーションではなく、空間のどこにコントローラーがあるかという「ポジション」であり、それが正確にできる、ということが画期的だったんですが、それを平面のテレビの中で使うのは、とてもわかりにくかったんです。 しかし、そこにバーチャルリアリティーがやってきて、「空間に存在する」ことができるようになったので、「じゃあ手がいるよね」ということで、PS Moveが再評価された、という部分がありますPS3世代に作り、我々としては技術的には自信を持っていたものなんですが、やっと評価されるようになった、というのは、面白い現象ですね。

 詳しくは申し上げられない部分もあるのですが、現在のものでは、レンダリング時に視野中央を厚くするようにしていますし、首の動きに合わせたリプロジェクションもやっています。VRを積極的にやられているデベロッパーさんと共同で、「どんな風な絵の作りにしたらいいのか」ということの議論を、かなり積極的にやりました。
 今考えているのは、「酔わない」「VRに最適な開発方法はなにか」ということについての解説書をまとめて、新しくVRに参入しようとしておられる方々にはお配りしよう、と考えているところです。
「酔い」について関与度が高い、と特に最近わかってきたのは、ポジショントラッキングを使いながら、別の方向を向けるようにすることです。スティックとポジショントラッキングの両方を使うとすごく酔うのです。だからそこをどう作るのかがポイントです。今までのゲーム機の感覚だと、「動きながら別の方向を向く」行為はやりたくなるものなのですが、HMDでやろうと思うと、うまくやらないと酔うんです。
 そういう部分も含め、ガイドライン製作に時間がかかってしまっている、というところはあります
PS VRは、あくまでまずPS4ありきです。まずPS4に合わせた絵作りが重要になります。サードパーティーの方々と一緒に開発を進めていく理由としては、酔いの問題だけでなく、PS4の限られたパフォーマンスを最大限に生かせる作り方としてはどうするのがいいのか、という部分もあります。
 単純に言えば、Oculusに比べ、画質で劣るところはあります。しかし、PS4というエコシステムの中で最も良いVR体験をするにはどうしたらいいか、という観点で開発を進めています。
 すでにPS4向けのゲームでは開発が進み、GPGPUをうまく使うものも増えています。描画という意味ではゲームでもVRでも同じですから、そうしたノウハウは活用できます。
 酔いの問題も含め、ドキュメント通りに作ればある程度快適なものができるところまでは進めたいと思っています。今だと一つ作るたびにHMDを被って試行錯誤している状態ですが、そうしなくても開発が進むようにしなければいけない、と認識しています。
 その中では、ゲームエンジンメーカーとの協業も検討していきます

2015/10/06 Well That Was Impressive: Playstation VR, Hands On 

www.tomshardware.com

http://media.bestofmicro.com/6/7/531583/original/PlayStationVR-at-Immersed-2015-8.jpg

http://media.bestofmicro.com/6/5/531581/gallery/PlayStationVR-at-Immersed-2015-4_w_600.jpg

http://media.bestofmicro.com/6/1/531577/gallery/PlayStationVR-at-Immersed-2015-7_w_600.jpg

 

2015/11/03 パリで吉田修平氏を直撃、PS4タイトルとPSVR戦略は一体どうなるのか

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2015/11/4 韓国SCEK、G-STARプレスカンファレンスでPSVRをアピール 

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PSVRの展開ハードをPS4に固定化するリスクについて問われると、「良い質問をありがとう」と笑顔で応じながら、PS3のローンチ時のクオリティと、 PS3末期の「The Last of Us」や「Grand Theft Auto V」とのクオリティの違いを引き合いに出しながら、同じPS4でも時間が経つに従って、レーテンシーがより抑えられた、120Hzで動 かせるような、よりクオリティの高いVRコンテンツが生まれてくるため、ハードが変わらないことを心配する必要はないのではないかと 応じた。
PSVRのハードウェア設計について尋ねられると、開発はほぼ終了したことを明かし、より多くの 人に快適に使って貰えるように、頭の頂点にヘッドバンドを置いて頭全体でPSVRを支える設計にしたことで、体感重量は軽く感じること、そしてその状態の ままヘッドセットを前後に動かせるため、使い勝手が高いことをアピールした。

 

2015/11/16 E3で公開された「Monster Escape」、東京ゲームショウで公開された「Cat N Mouse」に加えて、Paris Games Weekで初披露された「Ghost House」

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2016

2016/01/08 ソニー平井CEO「まだコンシューマでイノベーションを起こせる」

av.watch.impress.co.jp

PS VRは話題ですし、まさに「今後の方向性を示す」という意味では適切なものです。「なぜこの話をCESでしなかったのですか?」という疑問はおありでしょう。
 でも一方で、PS VRはゲーム中心のイノベーションです。E3や東京ゲームショウGDCといった、より適切な「場」がある、ということもあります。
 デジタルイメージングでいえばPMAを使うこともあるでしょうし、CESを使うこともあります。タイミングとの兼ね合いもあります。
 CESは年初のイベントなので、「今年の方向性を示す」という意味で盛る、という発想もあるのですが、むしろカテゴリによってどこで発表すると盛り上がるのかにより、やり方は変わってくるかな、と思っています。
 ソニーの場合にはいろんなカテゴリで展開しているので、CESだけが商品の見せ場ではありません。年間を通して見ていただいた方が、ソニーらしさという観点ではわかりやすいかと思います。

 

2016/01/28 Asia Pacific Game Summit 2016 基調講演 「VRが可能にする未来のゲーム」

http://panora.tokyo/5177/

www.famitsu.com

game.watch.impress.co.jp

SCEが1月26日に発表した社名変更に合わせて公開されたグローバル経営体制図においてSCEWWSのトップが吉田修平氏からショーン・レーデン氏に変更されていた件について吉田氏本人に確認したところ、SCEWWSのチェアマンとしてSCEA CEOのショーン・レーデン氏が入っただけで、吉田氏のプレジデントの役職や業務内容に変更はないということだ。

吉田氏が語ったVRの未来は、PSVRの枠組みに限らず、エンターテインメントコンテンツを皮切りに、シミュレーション、デザイン、教育、旅行、ライブコ ンサート、スポーツ観戦、報道など、VR全体の未来像で、非常に貴重だった。中でも「すでにいくつか具体的なプロジェクトとして動き出しているのでは?」 と思わせてくれたのが、エンタメコンテンツだ。


2016/01/29 SCE吉田プレジデントが語る開発の裏側 

www.phileweb.com

PS4製作時の仕込み
PS VRPS4の開発はほぼ同時並行で進められました。商品としての発売はPS4が先行することになりましたが、本機には後からPS VRを迎えるため、いくつかの“仕込み”がされています。
PS4と同時に発売したレンズと撮像センサーを2基搭載する『PlayStation Camera』です。PlayStation Eyeは単眼のカメラユニットで“PS Move”の位置情報をXYZの立体座標で取るため、“ボールの大きさ”で距離を測っていましたが、PS4のシステムではVRヘッドセットやデュアルショックに搭載されているLEDを2眼式のPlayStation Cameraでキャプチャーして、より正確な奥行き情報を素速く取得できます。
PS4はシステムソフトウェアのアップデートにより、通常の60fps表示に加えて、120fps表示にも対応しました。なぜならVRヘッドセットでは非常に速いスピードでスクリーンの描画を行う必要があるためです。PS VRに接続した際には、自動的に120fps出力に切り替わります
ゲーム以外のコンテンツ
実際にVRコンテンツの製作を手がけるようになってからというもの、プレーヤーがいまその世界にいるように錯覚してしまうほどリアルな“Sense of Presence”の感覚を追求することの大切さを実感しています。VRの場合、ある程度ゲーム性を抑えても上質なエンタテインメントをつくることができます。VRならではの『体験をデザイン』するという視点が必要なのです。
PS VRは安全面にも配慮し、ディスプレイ部分の下部から手元の様子を確認できるが、装着するとどこまでも仮想世界が広がり、その隙間を感じさせない。そのためVR空間の中でスムーズにゲームをプレイするための入力インターフェースについてもPS VRならではの工夫が凝らされている。
HMDの装着クオリティ
PS VRの場合は、一度しっかりと頭部に固定した後からでも、前方ディスプレイ側ユニットの底部にあるボタンを押して、本体を装着したままディスプレイ側全体を前にスライドできるギミックが搭載されている。
これにより、いつでも手軽に手元を肉眼で見ながらコントローラーに目をやったり、慣れればちょっとした飲食も可能になるだろう。さらに眼鏡を装着したままでも装着できるよう、レンズ側の空間も広く取られているので、筆者のようなメガネ派も気持ちよくプレイできた。筆者の実感としては、Oculus Riftに比べ装着感も格段に良かった。
頭の後ろ側をバンドでしっかりと固定した後に、額部分からヘッドパッドで全体をグリップするので、装着感はかなり安定している。重さによる負担も感じられない。はじめはSCEの担当者に装着を手伝ってもらったが、着脱を数回繰り返したら自分でもスムーズに身に着けられるようになった

http://www.phileweb.com/news/photo/review/19/1947/ps_vr_p_look.jpg

価格・発売時期
PS VRは、ハードとしてはほぼ完成しています。あとは現段階で必要なシステムソフトの最終調整や、ゲーム開発者の方々へのサポートを着実に行いながら準備を進めています。それぞれに目処が立った時点できちんとご案内したいと考えています。

2016/02/01 SCEからソニー・インタラクティブエンタテインメントへ 

www.4gamer.net

PlayStationプラットフォームの販売総数
     北米    欧州    日本    その他    総計  総計
PlayStation 4    1377    1410    230    589    3606
PlayStation 3    2927    3429    1040    1233    8629
PlayStation 2    5365    5528    2318    2558    15768
PlayStation    3894    3691    1936    904    10425
(単位: 万台/参考:VGChartz)

2016年3月初めで、世界出荷台数は3770万台となっている。2015年度内に4000万台到達は確定的。

 

2016/03/09 PlayStation VR が出来るまで。 開発の舞台裏を概観、次世代のPSVRも。

www.polygon.com