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(全文日本語訳) テイクツー・インタラクティブCEOが語る次世代そして未来 ~ クラウドはゲームチェンジャーではないことを論じる

テイクツー・インタラクティブCEOが語る次世代そして未来 ~ クラウドはゲームチェンジャーではないことを論じる

ジュゼッペ・ネルヴァ (Giuseppe Nelva, Twinfiniteライター)

2020年5月28日

 

定例のバーンスタイン・戦略決定カンファレンス2020(編者注:投資顧問会社バーンスタインが主催する戦略決定会議)の会期中、テイクツー(Take-Two Interactive Software)CEOのストラウス・ゼルニック(Strauss Zelnick)氏が、次世代ゲーム機とその未来について語った。

 

ゼルニックによれば、Take-Twoは新しいコンソールにおいて、パブリッシャーのクリエイティブチームが成し遂げられることに「非常に興奮している」と語った。彼らは既に、かなりの時間を新しいテクノロジーでの開発に費やしており、次世代ゲーム機が何を可能にするのかを熟知しているのだ。

一般的に言って次世代には、メモリの改善、グラフィックスの改善、優れた忠実度がある。より美しく、より繊細で、より速く、より豊かで、より奥深く、より多くのキャラクターが含まれるものだ。

 

ゼルニックは、『Red Dead Redemption 2(レッド・デッド・リデンプション2)』が前作と比較して、バックグラウンドのインタラクティブ性が大幅に向上したという例を挙げた。ゲーム世界ではもっと多くのイベントが惹起し、現実感が増す。

 

彼は、テクノロジーは時間とともに非常に洗練され、コンピュータで生成されたエンターテイメントとライブアクション(実写)の区別がつかなくなると考えている。彼は、私たちはそこにはまだ到達していないと認めつつも、そこに近づきつつあり、やがてフォトリアリズムが可能になる時が来るとした。

 

これは、フォトリアルがどんな場合にも適用されるという意味ではない。ゼルニックは、『Borderlands(ボーダーランズ)』がフォトリアリスティックになるとは考えてはいない。にもかかわらず、Take-twoのクリエイティブは、「完全に本物」に見えるものを作ることに興奮している。

 

ゼルニックによれば、タイトルが魅力的であるほど、より多くの人が同時にプレイできるようになり、ゲームの世界でよりたくさんのことができるようになり(特にRockstarが得意とするオープンワールドゲームだ)、よりオーディエンスは増大し、もっとゲームに夢中になった結果、より多く支払うようになり、より多くのロイヤリティが得られるようになるという。

 

ゼルニックは、COVID-19(新型コロナウィルス感染症)危機から抜け出したゲーム業界は、リニア(直線的)エンターテインメント(訳者注:一方向に受け取るメディア、映像音楽小説など)と比較してさらに重要性を増し、もっと急速に成長すると考えている。彼は、テクノロジーが少なくとも今後10年間、爆発的に発展し続けると考えている。

 

Grand Theft Auto Online(グランド・セフト・オート・オンライン)』の成功が、同シリーズの次のゲームをリリースする際に何らかの問題を起こす可能性があるか尋ねられたゼルニックは、基本的に未発表のリリースについて話すことはないため、より広義に、次のように述べた。

会社がもしイノベーションを起こさず、消費者に驚異的で、新しいエンターテインメント体験を生み出し続けない限り、取り残されるだろう。

 

彼は、自分自身のビジネスを見て「これは素晴らしい、人々へ与え続ける贈り物だ」という立場をとり、イノベーションを無視してそこに固執するなら、それは「競合他社に事業を壊される寸前だ」と主張した。

 

「いずれにせよ、自分のランチは奪われてしまう(美味しいところを持っていかれる)ものです。だから自分で食べて競合他社に先んじるのです。次に素晴らしいものが出てくるタイミングでいつでもマーケットに現れて、以前あったものに何か悪影響を及ぼすことを恐れないようにするのです」

 

彼は、自社ライブサービスのラインナップが充実しているため、新規タイトルが何らかの形で競合を引き起こす立場にいることについては「少しも心配していない」という。

 

Stadia(ステイディア)については、ゼルニックはGoogle Stadiaのローンチが遅れていることを認め、ユーザーを失望させる原因となった過剰な宣伝があったと考えている。

 

会社が配信規模を拡大するたびに、潜在的にオーディエンスも拡大すると信じているが、それがTake-Twoが3本のStadia向けタイトルでサポートし、ビジネスモデルが意味のある限り高品質のストリーミングサービスをサポートし続ける理由だ。

 

時間の経過につれてストリーミングはうまく機能していくだろうが、ゼルニックはそれが「ゲームチェンジャーにはならない」と考えている。

 

「私たちのゲームを欲しい人は、今すぐ入手できます。ストリーミングができることで、コンソールインターフェースがないという事実はそれほど大きな問題になりません。人々はPCを持っていて、すべてのビッグタイトルをPCで手に入れることができます。たぶん、すぐにではありませんが、以前はコンソールで出ていたものの40%がPCに移行し、それが成長していきます―世界はオープンシステムに移行しているんです」

「最先端のタイトルをプレイするために60ドル以上を支払い、さらに世界中のゲームに手を伸ばすとしたら、300ドルのコンソールは買いたくないと言うでしょうか?」

「ストリーミングが変革をもたらすという信念は、インタラクティブなエンターテインメントに本当に興味を持ち、それにはお金を出したいがコンソールは欲しくない、という人々が大勢いるのだ、という見解に基づいていました。うーん…それが本当だったのかはわかりません」

 

彼はこのテクノロジーと、それが何を成し遂げようとしているかに興奮しているが、それがマーケットを10倍、あるいは20倍にするとは思っていない。もちろん、そうなれば素晴らしいことだが。

 

ゼルニックはサブスクリプションについて、月に平均45時間プレイし、1~3本のタイトルを1~6ヶ月以上プレイする多くのゲーマーにとって、60ドルでゲームを1本買うのは、10~15ドルのサブスクリプションを購入するよりもかなりお得だと述べた。

 

彼の考えるサブスクリプションの促進剤とは、消費者にとってもパブリッシャーにとっても得なことが重なる場所にある。最先端の、言い換えれば、新しいゲームを含むサブスクリプションについて、その交差点はまだ見つかっていない。

 

それは熱心な消費者には良いことかもしれないが、パブリッシャーにとってそうではない。Take-Twoはスイートスポットが見つかると信じているが、それはディープカタログ、つまり古いゲーム用なのだ。

 

最先端のサブスクリプションはヒットしたタイトルには意味がないだろうし、失敗作にも意味があるかもしれないが、それでも失敗は続くだろうし、幸運なことにTake-Twoには失敗は多くない。

 

だからこそゼルニックは「最先端のサブスクリプションには非常に懐疑的」であり、「ディープカタログのサブスクリプションには熱心」なのだ。それでも、最終的には、Take-Twoはいずれ消費者が望むことを実行しようとしている。

 

Take-Two Interactive Softwareの財務実績に興味をお持ちの方は、数日前の記事をご覧ください。(https://twinfinite.net/2020/05/take-two-q4-2020-results/)

 

〈元記事〉