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"Golem" 「ゴーレム」 PlayStation VR 個人的に注目のゲームタイトル

(2017/04/28)この2月、プロジェクトに大きな動きがありましたので、改めて記事を書きました。

 

昨年、PSXのショウリールで久しぶりに映像が出た"Golem" (ゴーレム)は、グラフィックがより美しくなっていて開発が進んでいることに安堵したものです。

https://youtu.be/YE-eOkIXLxw?t=1m6s

ゲームの発売日は依然不明なままですが、それよりももっとファンが気を揉んでいるプロジェクトがありました。

それは、ゲーム本編の前日譚を音楽アルバムで表現しようという試みで、クラウドファンディングで資金集めに成功していましたが予定された2016年秋を過ぎてもほとんど音沙汰がなかったのでした。

動きが見えたのが冬ごろ、音楽収録にバッカーを招待する約束を果たすことが告知されましたが、その後は再び沈黙し、この2月になってようやく楽曲の抜粋がバッカーに紹介されました。

3曲のそれぞれ1分ほどの抜粋で、タイトルもストーリーに関わるために仮題とされ、報告ではまだまだミキシング段階であるらしく、やはりアルバムが完成するのはまだまだ遠いなと思われました。

しかしながら、その3つの曲のほんの一部でしたが、いかにも壮大で、華麗且つ繊細な生楽器の音色に圧倒され、経験豊かで素晴らしい楽曲を創ってきた作曲家の力量に感嘆し、これならば間違いなく、「本格的な物語のあるVRゲーム」「感情移入できるVRゲーム」がやがて完成するだろうとの期待を持つことができました。

残念なことに、日本のバッカーはわずか4人。情報もなく致し方ないことではありますが、冒頭にリンクしたPlayStation公式のシズルトレーラーに採用されているくらいですから、もっと注目されてよいと思います。

f:id:keepitreal:20170428205705j:plain

us8.campaign-archive1.com

幸いなことに、作曲家本人が協賛するこちらのサイトから三曲を聴くことが出来ます。

 

 

 

以下は過去の記事です。

※(03/11)PSVRと通常のモニターの両方でプレイ出来る、ゲームモードの切替について言及されました。去年12月の別媒体の記事で既に記述があります。

また、本編の前日譚としての音楽制作について、KickStarterでのクラウドファンディングが開始されました。(こちらは記事の最後に掲載しました)

※(03/09)移動と操作の手法について、開発者の解説動画がアップされました。

※(03/08)新たに、巨大なゴーレムになって剣を振るう動画が公開されましたので、下方に追加しました。

 

"Golem" (ゴーレム)は、PlayStation VR のゲームで最も想像力を刺激されるタイトルです。

元HALOのベテラン開発者たちが全く新しいゲーム体験を創ろうと、小さな会社を興してVR ゲームの可能性を探っています。

昨年末からメディアの体験取材が解禁された模様で、新しい映像はほとんどないものの、実は新しいVRゲーミングの文法が生まれていることがわかってきました。

www.wired.com

www.polygon.com

と、その前に、ちょうどこの記事を書いている時、遂にプレイ中の動画が初公開されました。参考記事としてリンクしていた、IGNの体験取材です。百見は一体験に如かず。まずは動画を視聴して下さい。

www.youtube.com

www.ign.com

 こちらの動画は、インタビューの音声とプレイヤー映像の小窓がなく、音響とSEがよくわかります。

www.youtube.com

www.ign.com

こちらは、小さな人形だった先の動画とは打って変わって、6メートル以上の巨人となったプレイヤーの剣劇シーンです。

ign.com

更に、独創的な操作方法についてです。

www.youtube.com

最初のWiredとPolygonの取材記事でも触れられていましたが、通常のTV画面でのプレイも出来るように工夫されているようです。プレイヤーの疲労、酔いなどの負担軽減と、VRに慣れるためのトレーニングにもなることでしょう。

 

さて、VRゲームの文法をどう変えたのでしょうか。また、なにが今までの「文法」だったのでしょうか。

まずひとつには、キャラクターの移動法です。コントローラーのキーを押す伝統的な操作方法とは違う、また、HTCViveのように実際に、物理的にプレイヤーが空間を移動することによりポジショントラッキングして、ゲーム内に反映するという、直接的VR手法でもありません。

インタビューと動画から、"Golem"はPS Moveコントローラーを両手に片手に持ち、プレイするスタイルとわかります。DS4コントローラーを使用することによる、キー押下等の「モーションと無関係の操作」は、没入する感覚を損なうため避けられたと考えられます。

また、振り返るのに体を360度回転する必要もありません。

現実と全く同じ身体動作がそのままトレースされることによって、VR空間内に自己が存在している実感を得る。これがVR体験の核心的部分です。しかしこれは、プレイヤーに文字通りゲーム内の動作そのままの負荷がかかることにもなります。

ゲーム、あるいはコンテンツのジャンル、性格によって、このような身体への「直接的フィードバック」は低減されるべきでしょう。これは身体的リスクにもつながります。無批判にポジショントラッキングを無加工で反映していれば、結果としてコンテンツの多様性を狭める事になるからです。

プレイヤーの身体の微妙な傾きと、Moveコントローラーの動き。

この革新的操縦法には、とても大きな意味があるのです。

VR体験において最も回避すべきなのは、「酔い」だと言われます。ゲームへの没頭を邪魔するばかりか、プレイヤーの健康すら損なう危険があるからです。ヘッドトラッキングにより描画される「世界」と、コントローラーによって(多くはパッドのキー操作によって)プレイヤーの主観視点で移動する際に強制的に描画される画面との不一致によって、人間の眼は車酔いに似た「VR酔い」ともいうべき強烈な吐き気を催してしまうためです。

そのために、VR業界では移動方法がほぼいくつかの手法で固定化されていました。主観画面における、伝統的なアクションで用いるコントローラーの左スティックで移動して右でエイミングする方法の片方をヘッドトラッキングに置き換えて操作する、といった手法です。"Rigs"や"BattleZone"で採用されていますが、しかしこれでも、視界の移動の方向が自機移動のスピード、方向と大きく逸脱すれば容易に酔いを起こします(もちろん、無茶な振り向きなどを多用しなければ危険性は大きく減りますが)。このようにゲームのジャンルによっては酔いを生じてしまう状況を打破すべく、あるゲームでは発想を転換して、コントローラーで指示した地点に一気にテレポーテーションすることで、この問題を解決しているデベロッパーも散見されます。

しかし、"ゴーレム"制作過程において、製作スタジオのHighwire Gamesのポリシーは全く違いました。「そのようなテレポーテーションは移動法としてインチキだ」とはっきり否定していることが、このタイトルのそもそもの出発点なのです。

本作では、消去法的な解決策の風潮に真っ向から対峙して、あくまで臨場感を保つ移動方法を考え出すべきであり、実装すべきだという信念をもったスタッフにより、プレイヤーがゲーム世界の中に確かに居るという、実在感を失わない手法が生み出されました。

つまり、いままで可能性を縛っていた「VRの文法」の鎖が砕けた、ということです。インタビュー記事に詳しく論究されています。

ふたつ目として、物語の中の主人公となって、プレイヤーが空間的に入り込むのがVRゲームの最大の魅力の一つですが、Golemはさらに物語の主が作り出す、ある存在にもプレイヤーが憑依します。

映像冒頭、主人公であろう少女はベッドの上にいて、プレイヤーはその視点に憑依しているようですが、次の瞬間、部屋の別のところかた、少女の座るベッドを見上げていることに気づきます。つまり少女よりずっと小さい存在なのですが、プレイヤーは、少女よりずっと大きな、巨大な存在にも憑依することになります。
ここからは、システムの限界性能を引き出して達成した、ネイティブ90fpsの描画がプレイヤーの動きを切れ目なく追従し、さらに美しく描き込まれたアートボードが、世界観と没入感を豊かに補強してゆきます。

さらにもうひとつ。

ゴーレムは、VRと2Dのハイブリッドゲームです。プレイヤーが人間としているときには、テレビの画面を見てプレイすることになるでしょう。そして別の存在の体内にジャンプすることを決めた時に、VRのヘッドセットを着けて、ゲーム世界の中に没入することが選択できます。VRに慣れない段階では有効なシステムではないでしょうか。

開発者は、PlayStationVRのユーザーが、PCベースのVRHMDユーザーとははっきり異なる人々であることを正確に認識していて、長時間のプレイが当たり前となるRPGジャンルでのVRHMDの使用について、業界でも先駆的な試みをしているのです。

 

現在もなお、私たちが体験できるVRソフトウェアは、一般にデモや短編的な風合いの強いのが実情です。その中にあって、他とは明確に一線を画す。本格的な「感情移入できるVR体験」を、Golem に期待したいと思います。

 

動画は360度動画です。対応するスマートフォン、VRゴーグルで視聴出来ます。

www.youtube.com

www.youtube.com

最初のトレーラーです。

youtu.be

 

クラウドファンディング
Echoes of the First Dreamer by Highwire Games

www.kickstarter.com

この音楽劇ともいうべきアルバムのリリースは、デジタルダウンロード開始が9月となっています。音楽アルバムをリリースした後にGolem本編が発売されるとのことですので、早くても9月以降、今年秋から冬にかけての登場となりそうです。