PlayStation VR 今後の展開を予測する

2016/06/18

PlayStation VRの発売日が発表されたPlayStationカンファレンスで並み居るビッグタイトルと同等に大きく紹介され、E3 2016で最も注目を浴びることとなったVRゲームの一つ、'Farpoint'。動画集のエントリーに動画を集めましたが、大きなスペースを占有し、火星のような砂漠背景のセットの前で直観的なシューティングプレイを見せつけています。

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実際にはDS4でプレイすることも可能ですが、ここまでフィーチャーした理由は、"PlayStation VR Aim Controller"というPSVR 第三のコントローラーのお披露目にあります。

SIEが、インディーズ・デベロッパーであるFarpointの開発者とともに、PlayStation VRにおけるガン・シューティングの可能性を探っていたとき、はじめはPS3のガン・ペリフェラル"Move シャープ・シューター"をハードウェアはそのまま利用して作り上げたのが、前身のタイトル'The Refuge'でした。昨年のE3で登場し、プレス関係者には結構良い評判だったようです。

それが本年、いよいよPlayStation VRローンチのE3では、満を持して「新規開発のガン・コントローラー」とともに華々しく再登場したのはインディーズとしては画期的であるとともに、SIEの貴重な開発リソースを一定程度、注ぎ込んだのだろうと窺い知れる出来事でした。

このペリフェラルはPS VR仕様であり、Farpoint専用ではもちろんないからです。

Farpointの成功は、「PSVR Aim Controller」の普及、そしてAAA FPSタイトルの獲得に直結しています。吉田修平氏も、直近のインタビューでAim Controllerのユニバーサルな利用に期待をかけていました。

本体同時ローンチではないと思われますが、FPSデベロッパーへ与えるインパクトは十分にあったと言えるでしょう。

更には、この第三のデバイスがFarpointと同時ローンチすることにより、いましばらくはPSMoveコントローラーがPlayStation VR ハンドデバイスの主役であることが明確になった、ということも言えましょう。

 

2016/02/19

プレス、ユーザー問わず多くのプレビューで触れられていることの一つが、PS Moveコントローラーの技術的問題です。

PS Moveコントローラーのデビューは2010年の秋、PS3の時代でしたが、搭載した二つのセンサーとLED発光器、グリップの良さとトリガーなどの操作のしやすさなどは現在でも十分使用に耐えうるものです。むしろ実際に3次元空間の中でトラッキングに利用することが可能になったPSVRの登場によって、ようやくその本領が発揮されようとしていると言ってもよいでしょう。

さてPSVRとともに開発されていたPS4では、デュアルショックコントローラーが新しくなりました。このDS4はMoveコントローラーより精密な測定が出来るセンサーが搭載されており、またMove同様にLED発光し、さらにタッチパネルもついています。DS4のVR用途においての性能は、センサーにおいてはMoveよりも上位にあると明言されていますので、Moveコントローラーが(他社のハンドコントローラーが製品化されている現在においては)繊細な動作を伝えるにはやや大きいこと、そして単純な棒状という形状が、VR体験においてゲーム開発者に一種の縛りを与えてしまっていることは、否定できない事実だと思われます。

SCEにおいてはPSVRローンチを迎える現在まで、既にグローバルなユーザー間に広まっているMoveコントローラーをブラッシュアップ、あるいは新しいハンドコントローラーに置き換えるというアクションは一切しない、と否定しています。

これはレガシーを最大限利用し、ただでさえコストがかさんでいるPSVRシステムの一層の価格上昇を抑制するためには、至極当然のことであると言えます。

しかしそれはそれとして、既にOculus Riftには評判の良いOculus Touchが、HTC ViveにはSteamコントローラーがそれぞれ開発され、リテールの段階近くまでブラッシュアップされている現状を見るとき、PlayStation VRの最も得意とする低レイテンシと高フレームレートによる快適なVR体験が、もはやレガシーの域に達する6年前の機材によって矮小化されることが少しでもあったならば、大変にもったいないことだと思われますし、SIE(SCE)が既に新しいコントローラー、ハンドデバイスの開発に取り掛かっていないと考える方が無理があるところです。

そこで、PSVRから始まる本格的なVRHMD製品の、ソニー社エコシステムの将来を見据え、ソニーが何を目指しているのかを予測してみたいと思います。

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2015年10月初旬、ソニー本体はSoftkinetic Systems S.A.(ソフトキネティックシステムズ社)を買収したと発表しました。

ハンドデバイス、ハンドトラッキングの可能性を追求する際に避けて通れないのがKinectの中核特許(Prime Sense社)です。ソニーも他社と同様、この既存のコンシューマ技術を利用するわけにはいきませんでした。

そこで目をつけたのがSoftkinetic社で、その中核技術はToF方式の3Dジェスチャー認識デプス(深度・距離画像)センサーとSDKでした。既に2012年、赤外線LEDを利用した製品が民生品レベルの低価格(300ドル以下)で市場に出ていて、ToF方式のため高フレームレートであり、またKinect以上に非常に近い距離で測定できるため、全身の関節をカバーするとともに、手の指先と関節の位置も正確に計測できる様子が話題になっていたようです。

www.youtube.com

前年の12月には、Oculus VRはやはりハンドトラッキング関連のNimble VR社を買収しています。両社とも、ハンドトラッキング技術を自社VR製品に組み込む可能性はゼロではないということが出来るでしょう。

また、2月末現在、ソニー本体及びSCEの特許出願はとどまることなく次々に公開されています。その一部分が冒頭に提示した図です。

まず、上の図はこちらの特許公開にあたります。

http://www.freshpatents.com/-dt20150917ptan20150258431.php

回転可能に配置されたカメラとゲームデバイス、といったところです。

他にも重要なアイデアが次々に登録されているのですが、あまりに膨大なのでそれは別にまとめる必要があるでしょう。

ところで、昨年末に開催されたPlayStation Experienceでちょっとしたハプニングがありました。PlayStationVRの父ともいえる存在で、マジックラボのリーダーであるDr.リチャード・マークスのデモンストレーションが失敗したことです。この事態への弁明と解説はマークス氏自ら、翌年のVision Summitで開陳されていました。そのセッションの動画では、デモンストレーションしたかった内容とPSVRの可能性がかなり具体的に明示されており、以下の事が類推出来るのです。

それは、今年発売されるPlayStation VRとPlayStation 4、既存のMoveコントローラーの組み合わせで実現出来ている5つの技術的到達点です。

2人のPSVR装着者がオンライン対戦出来る。

そのマルチプレイにおけるレイテンシの除去。

ヘッドセットとMoveコントローラーから推定する全身のモーションキャプチャー

素早い動作へのトラッキングの追随。

全身のモーションキャプチャーを、PlayRoomVRで実装済みであるセパレートモードに出力する観客モード画面。

これらの要素が仮題"Disc Battle"に結実しています。率直に言って、昨年時点でデモプレイ程度は実用化段階にあり、本体ローンチ時点では別タイトルで発表があるかもしれません。

可能性の話ではなく、リリースするかしないかの判断であろうと思います。